<労働>

【状 況】

 1年以上も前に退職した従業員から、残業代の請求や解雇無効を請求され、労働審判を申し立てられました。当該従業員は、会社側では素行不良と考えており、退職時も話し合いの上で退職手続きをとっていましたが、従業員の希望を受けて「会社都合での退職」としていたため、その意味合いが問題になりました。

 

【対 応】

 退職に関して、退職前後の本人とのメッセージのやりとり、就業期間中の本人の問題点やそれに対する会社の対応を資料をもって説明し、一方的な解雇などではないことを説明しました。また、残業代についても、移動時間における本人の拘束性などを丁寧に説明しました。

 結果的に、紛争の長期化を回避するために、請求金額の1割程度の解決金の支払いで決着を図ることとなりました。

 

【ポイント】

 労働紛争は、近年増えてきています。他方で、就業期間中や退職時の対応の甘さが原因で、紛争が大きくなることもあります。丁寧な証拠収集とヒアリングを前提に一貫した対応をとりつつ、早期解決のためにどの程度の負担があり得るかは、経営判断の問題にもなります。会社の総務部門の強弱が反映されやすい分野とも言えます。