動物愛護法という法律があります。
正式名称は、「動物の愛護及び管理に関する法律」。
制定の目的は
第一条 この法律は、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。
となっています。
少し時代を感じる上に、道徳的な香りもしますが、最後の「人と動物の共生する社会の実現を図る」という文言などは、未来への意欲を感じさせます。
さて、記事は先週の千葉日報さんから。
不適切な動物飼育への行政指導などが行われているものの、根拠が曖昧だ…というものです。
問題の条文を見てみます。
第二十三条 都道府県知事は、第一種動物取扱業者が第二十一条第一項又は第二項の基準を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて、その取り扱う動物の管理の方法等を改善すべきことを勧告することができる。
第一種動物取扱業は、ペットショップをイメージしてください。
第二十一条 第一種動物取扱業者は、動物の健康及び安全を保持するとともに、生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため、その取り扱う動物の管理の方法等に関し環境省令で定める基準を遵守しなければならない。
つまり、業者が動物を飼育するときは省令の基準を守らなければならないとされているのですが、記事によるとその基準が曖昧だとのこと。
記事にある「動物の管理の方法等の細目」にざっと目を通してみると、
飼養又は保管をする動物の種類及び数は、飼養施設の構造及び規模並びに動物の飼養又は保管に当たる職員数に見合ったものとすること。
といった形になっていて、数値基準がないのは確かにその通り。
専門的な業界内部でこんな論争になるのだから、基準が曖昧だと後日争いになり得るということでもあります。
動物愛護法46条では、勧告→命令に従わなかった場合に、100万円以下の罰金を科することができるとされています。
ただ、基準が曖昧だと、後日争われる可能性もあり、そもそも命令や罰金を出すことへの躊躇いが生まれてしまうこともありえます。
そうなれば苦しむのは動物たちです。
もちろん具体的過ぎても縛りがゆるくなってしまいますが、罰金まであり得るということだとすると、ある程度割り切って明確な数字にしておくことは必要だと思います。
見直しが予定されているとのことなので、次の動きが気になるところです。