養育費についてご相談を受ける場面がありました。
基本的に「算定表」に基づいて算出されるのが一般的なわけですが、
今回は「新算定表」が話題に上ったので、改めて整理してみます。
①「算定表」って?
裁判所で、お子さんの養育費を算定するために使われます。
ネットで検索すると、いろんなところにデータが転がっています。
「養育費算定表」
リンク先の説明書きにもあるように、「東京・大阪の裁判官の共同研究に基づいて」公表されたものです。
平成15年4月に公表されて、それからずっと使われています。
最後に物事を決める裁判所の裁判官自身が決めた基準であり、多くの事例の研究に基づくことを考えると、この算定表から外れるということはそれなりの「特殊事情」が必要だという予測はつくかと思います。
説明書き自体にも、
「この算定表の金額は,裁判所が標準的なケースについて養育費及び婚姻費用 を試算する場合の金額とも一致すると考えられます」と言及されています。
この算定表に基づく考え方は、ほぼ定着しているといってよいところです。
②「新算定表」?
上の「算定表」に対して、昨年(2016年)11月に「新算定表」が公表されました。
「公表されました」といっても、出しているところが違います。
今度公表したのは「日本弁護士会連合会」です。
弁護士の集まりですね。
前の算定表は「裁判官」の研究成果、今回のは「弁護士の集まり」の提案。ここは違うところです。
「養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言 」なるものに目を通してみると、
提言の狙いは「より実情に即し,特に子ども の利益(福祉)に配慮」することにあるようです。
(自分の所属する団体の提言について「ようです」も無いですが…)
現状では「提言」されただけなので、採用するかは各弁護士や裁判所次第です。
特に各弁護士が採用をプッシュすべく主張していくことになりますが、採用による有利不利があることを考えると正直難しいところがある、というのが正直なところです。
いずれにしても、「子どもの福祉」を考えて、いずれの基準によっても具体的な事情をしっかりと訴えていくことが大切ですね。
ちなみに、
夫 年収500万
妻 年収100万
子 10歳
の場合
今の算定表…5万円/月
新算定表 …10万円/月
になりますね。
この違いは相当です。
引き続き分析してみます。